素敵な車検

今後さらに高まる見通しで、欧州の自動車産業は西から東へと軸足を移し始める。 東欧は市場としても注目を集める。
チェコ、ハンガリー、ポーランドの三ヵ国の自動車販売は現在、約八十万台。 目覚ましい経済発展で国民の購買力が増し、近い将来、百万台を超えると予測されている。
トヨタモーターョーロッパ(TME)のY・T副社長は「西側諸国は日本と同じで成熟した市場。 今後、欧州で伸びるのは東側」と断言する。
東欧のさらに東側には大国ロシアが控える。 産油国のロシアは原油価格の高騰で好況が続き、○五年の自動車販売台数が前年比6.4%増の約百五十万台に達した。
シェアが5%以下と出遅れたトヨタは○七年、サンクトペテルブルクで日本メーカーでは初めて現地生産を開始、巻き返しに向け攻勢を強める。 ベルリンの壁崩壊から○六年で十七年。

冷戦が終結し、民主化や市場経済導入が進んだ東欧やロシアは「新しい欧州」と言われ、世界の有力メーカー各社が熱い視線を送る。 「欧州事業の成否は東欧とロシアが握る」(トヨタ幹部)とされる中、トヨタの取り組みはこれから正念場を迎える。
モノづくりにこだわりを持つトヨタ。 しかし、団塊世代の大量離職や雇用形態の多様化、若年層の労働観、の違いなどJJ製造現場を取り巻く環境は時代とともに変化し、L新たな対応を求められている。
「ギュ、ギュイーン」。 工具でボルトやナットをしめる乾いた金属音が響く。
ドアもエンジンもない「クラウン」や「エスティマ」の車体がコンベヤーの上を一定の速度で流れ、従業員らが黙々と手にした部品を取り付けていった。 トヨタ自動車元町工場(愛知県豊田市)の組立ライン。
正社員の水色ではなく、白色の帽子をかぶった作業員の姿が目立つ。 四カ月から三年未満の条件で働く「期間従業員(期間工)」ち。
相次ぐ増産を背景に今やトヨタの生産現場で全従業員の三分の一に当たる約一万人「給油所のバイトだと月十二、三万円がやっと。 資格も何もない自分が手っ取り早く稼ぐにはこれしかなかった」と話すのは、二○○六年夏まで三年近くトヨタの期間工を務めた岐阜市のN・K元。
愛知県内の大学を中退し、遊びや奨学金の返済などで約五百万円の借金を抱えていた。 出勤初日、上司から「二週間で仕事を覚えてくれ」と言われた。
堤工場(豊田市)で任さ復作業の繰り返しだったが、毎月、手にする給与明細琴平均で二十数万円、年収は諸手当を含め約四百万円と「同世代では多い方」だった。 Nはいま電子技術の職業訓練校に通うが、定職に就ける保証はない。
不安がこみ上げた時、こう自分に言い聞かせている。

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